今回は本革大好きオタクのわたしが、『皮』と『革』の違いを分かりやすくご紹介します。
私がまだ本革初心者だった頃、『皮』と『革』は同じ意味だと思っていました。
ただ製品化される前のレザーを『皮』、人の手によって製品化されたレザーを『革』と言う認識を持っていまして、これがあながち間違ってはいませんでした(笑)
では一体どういう事なのか、『皮』と『革』の違いを詳しくご紹介します。
- 皮と革の違い
- なめしとは
- なめし方で革の表情が大きく変わる
皮と革の違いってなに?
『皮』と『革』はどちらも『かわ』と呼びますが、実はこの2つには大きな違いがあります。
それは【なめし】加工がされているかどうかです。
一般的に『革』は【なめし】の工程が行われた後の状態をさします。
簡単にまとめるとこんな感じ。
- 【皮】…なめし工程が行われる前の状態(原皮)
- 【革】…なめし工程が行われた後の状態(加工)
なめしとは
【なめし】とは、動物の皮が革へと変化する為の大切な工程となります。
では一体どのような工程なのかと言いますと、まず『なめし』を漢字で表すと分かりやすいです。
なめしを漢字で表すと【鞣し】と書きます。
このことから『革』を『柔らかくする』ことが読み取れます。
そうなんです!
なめしとは固くなってしまう皮を、柔らかく耐久性のある革へと変化を遂げるための大切な作業工程なんです。
なめし加工をすることで丈夫でしなやかな革に変化
動物の皮は人間と同じでそのままだと固くなり腐敗してしまいます。
それを防ぐために皮をなめし、腐敗や劣化を抑え、また柔らかく耐久性のある革へと加工します。
私たちが普段使っている革製品が5年後、10年後と末永く愛用できるのは、このなめしの工程を丁寧に行っているからなんです。
なめし方は大きく分けて2つある
なめし方は大きくわけて『タンニンなめし』と『クロムなめし』の2つの方法があります。
この2つの製法の違いによって、なめされた後の革の表情がまったく異なってきます。
植物の渋(シブ)を使用して皮をなめします。
型崩れしにくく丈夫。使い込むほどに艶や味わい深さが出るのが特徴。
分かりやすく言うと、ヌメ革が代表的な皮革となります。
天然素材を天然素材で仕上げた、環境にもやさしいナチュラルな素材です。
塩基性硫酸クロムで皮をなめします。
柔軟でソフト、それでいて耐久性に優れており、滑らかで美しい銀面が特徴。
優れた耐熱性、染色性、弾力性を兼ね備えた革は、衣料用など様々な製品へと加工されています。
更に詳しい製法は【ココマイスターの天然皮革講座】を参考にしてみてください。
タンニンなめしとクロムなめしの大きな違いは、経年変化するかどうか
塩基性硫酸クロムでなめされた皮革は、タンニンを含まないので経年変化(エイジング)を楽しむことはできません。
革製品の醍醐味と言えば経年変化ですよね。
使うほどに味わいが増し、世界に1つだけの革製品へと育て上げるのが本革の楽しみ方でもあるので、あえてそこを無くすのはなんだかもったいない気もします。
ではクロムなめしのメリットは一体何かと言います、あえて経年変化させないことでお手入れ(メンテナンス)が不要となる所です。
もちろん私は経年変化を思う存分楽しみたいので、タンニンなめしされた革製品を選びます。
まとめ
『皮』と『革』の違いを解説しましたが、いかがだったでしょうか?
『皮』はなめし加工が行われる前の源皮の事を言い、なめし加工が行われた後の状態を『革』と言います。
そして経年変化を一生堪能できるのは『タンニンなめし』された革製品です。
革本来の自然な質感を存分に楽しみたい方はタンニンなめしされた製品を選んでエイジングを堪能しましょう。
